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躯体補修とは?初心者向けに基礎知識と代表的な補修方法を解説
2025年09月12日
「建物のひび割れ、これって放っておいて大丈夫?」
実は、それが躯体補修のサインかもしれません。
この記事では、身近な劣化症状がどんな問題に繋がるのか、そしてどんな補修が行われるのかを、初心者でも理解できるようやさしく解説しています。

躯体補修とは何か?基礎用語の解説
建物の主要な構造部分、いわゆる「躯体」は、年月の経過やさまざまな外的要因により劣化や損傷を受けることがあります。
躯体補修とは、こうした構造部分の損傷や劣化に対して補修を行い、建物本来の強度や耐久性を回復させる作業のことを指します。
適切な補修は建物の安全性を保ち、資産価値の維持にもつながります。
どのような建物に必要なのか
躯体補修は老朽化が進んだマンションやビルだけでなく、戸建住宅、工場、公共施設など幅広い建築物に必要です。
特に、ひび割れや剥がれ、錆びの発生などの目視できる劣化だけでなく、雨水の侵入や鉄筋の腐食、中性化など目に見えない内部の劣化も補修の対象となります。
また、地震や台風などの自然災害を受けた建物や、塩害地域に建つ建物も頻繁な点検と補修が重要です。
安全で快適な居住・利用環境を保つため、定期的な業者による検査や補修が欠かせません。
躯体補修の主な種類
躯体補修にはさまざまな種類があり、それぞれの劣化や損傷に応じて適切な方法が選ばれます。
代表的なものには、ひび割れや欠損の補修、中性化現象への対応、塩害による補修、さらに漏水に対する補修などがあります。
また、建物の状態や使用環境によっては、特殊な補修方法も施されることがあります。
ここでは、それぞれの補修方法について詳しく解説します。
ひび割れ補修
建物の躯体に発生するひび割れは、構造上の問題や経年劣化、乾燥や地震などさまざまな原因で発生します。
ひび割れを放置すると、そこから雨水が浸入して鉄筋の腐食やさらなる劣化を招く場合があるため、早期の補修が重要です。
主な補修方法としては、エポキシ樹脂やポリマーセメントを用いた注入工法、シーリング材の充填などがあり、ひび割れの幅や深さ、発生箇所によって最適な手法が選択されます。
欠損補修
コンクリートや鉄筋が一部欠落した状態を欠損と呼びます。
こうした欠陥は、外的衝撃や劣化、鉄筋の腐食によって引き起こされます。
欠損箇所をそのまま放置すると建物の耐久性や安全性が著しく低下してしまうため、適切な補修が必要です。
補修方法には、損傷部の除去後に新たな補修材を充填する方法や鉄筋の防錆処理と合わせて部分的な再施工を行う方法などがあります。
小さな欠損でも早期対応が建物の寿命を左右します。
中性化補修
コンクリートの中性化とは、空気中の二酸化炭素がコンクリート内部に侵入し、アルカリ性を失う現象です。
これにより内部鉄筋が錆びやすくなり、建物の耐久性が損なわれる可能性があります。
中性化が進行した場合は、ひび割れや欠損の補修に加え、鉄筋の防錆処理、中性化抑制材の塗布などのケアが必要です。
適切な検査と早期の補修対応により、建物の構造的健全性を維持することができます。
塩害による補修
海に近い地域や除雪剤を頻繁に使う地域では、塩分がコンクリートに浸透し鉄筋の腐食を促進する「塩害」が発生しやすくなります。
塩害はコンクリートの表面の剥落や鉄筋の膨張・破断といった重大な問題につながります。
補修方法としては、塩分を含むコンクリート部の除去、錆びた鉄筋の防錆処理や交換、防錆剤の塗布、新たな補修材の充填などがあります。
長期的な耐久性確保のため、塩害リスクの高い建物では定期的な確認が不可欠です。
漏水補修
建物内部への水の侵入は、防水層の劣化やひび割れ、目地の破損などさまざまな要因が関係します。
漏水を放置してしまうと躯体の劣化が加速し、居住性や衛生面にも悪影響を及ぼします。
漏水補修には、原因箇所の特定、ひび割れ部分への補修材注入、防水材や止水材の施工、屋上や外壁の再防水工事などが含まれます。
状況に応じた適切な施工が建物の資産価値維持に直結します。
その他の特殊な補修方法
上記の補修方法以外にも、FRP(繊維強化プラスチック)を用いた補強工法やカーボンシートによる耐震補強、樹脂注入工法の高度なバリエーションなど、最新技術を活用した特殊な補修方法も増えています。
これらは通常の補修方法では対応できない大規模な損傷や特殊な劣化に用いられます。
建物の用途や損傷の程度に応じて、最も適した技術を選択することが、安全性と機能性の向上につながります。
まとめ|建物の長寿命化に向けて知っておきたいこと
建物を長く安心して使い続けるためには、躯体の劣化や損傷を早期に発見し、適切な補修を行うことが大切です。
ひび割れや欠損、中性化や塩害、漏水など、それぞれの劣化症状に合わせた補修方法を理解することで、計画的なメンテナンスが可能になります。
また、建物ごとに最適な補修と維持管理の方法を業者と相談しながら選ぶことが結果的にコストを抑え、資産価値を維持する最善の方法です。
建物管理の一環として躯体補修の知識を深め、適切な対応を心掛けましょう。